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Q&A

財産を委託する,受託するためには何を考慮しておくべきでしょうか?

1 委託者になるためには

民事信託はまだまだ新しく,世間一般にはなじみの薄い制度です。

まず委託者として信託を開始するには,その前にどういった点に注意しておくべきでしょうか。

最も注意すべきは誰を受託者に選ぶかです。

民事信託における受託者は一般的には委託者から見て近しい存在でかつ信頼できる人物を受託者にすべきではありますが,信託ではそれぞれの信託ごとに信託の目的を設定します。

当該信託個別の事情を考慮して受託者を選択することになりますが,誰が適任であるかは委託者個人の視点からのみではなく,専門家,特に日頃から成年後見,相続などの案件を取り扱っている弁護士等にも意見を求めるのも一つの手段です。

また選んだ後の受託者が正しく機能するかどうかも考えておく必要があります。

具体的には信託が受託者にとって過度な負担となりはしないか,また背信行為をする恐れはないか,といった点ですが,それらに関しては受託者を複数選んで負担を分散させつつ,相互に監視させる等の手段も考えられますが,弁護士等の専門家を信託監督人,受益者代理人などに選んでおく,というのも選択肢の一つです。

2 受託者を引き受ける前に

続いて民事信託において受託者を引き受ける場合にはどんな点を理解しておくべきでしょうか。

まず受託者には様々な義務が発生します。

そして受託者は一個人,所有者としては自らの固有財産を,受託者としては信託財産を管理することになります。

信託事務を処理する中で第三者に損害を与えたような場合には信託財産と自らの固有財産を以てその責任を負うことになります。

また民事信託における受託者は無報酬です。

ただしこれらはいずれも原則です。

受託者を複数選択することによって負担の分散が図れます。

限定責任信託という機能を利用すれば,受託者が第三者に信託事務によって損害を与えたとしても信託財産の範囲で責任を負えば足りることになります。

受託者に対して報酬を支払うという取り決めをしておけば無報酬では無くなります。

また受託者として何をすればいいのかわからないといった不安もあろうかと思われますが,そういった際の相談先という意味でも専門家を信託監督人などの形で信託に関与させておくことにもメリットがあるものと思われます。

受託者は解任されることもあれば,辞任することもできる点も覚えておいて下さい。

3 信託をうまく活用するために

信託の開始時点において,委託者,受託者双方の立場から信託が機能すべく配慮しておくことが重要と思われます。

冒頭にも述べたとおり,信託と言うのはまだまだ新しい制度です。

世間一般に馴染みがないというだけではなく,既存の制度のように判例という判断基準が積み重ねられているわけではありませんし,また今後の法改正なども信託法のみならず税法等の関連する分野の法改正も考え合わせれば,当然想定しておくべき,と考えられます。

その点を考慮すれば信託を開始,継続していくためにはある程度の専門家の関与は必要不可欠と思われますし,最近は専門家の側でも所属する事務所間,更には業種の垣根を越えて連携することで信託に関してよりよいサービスを提供しようという動きが見られます。

新法,新判例への対応力等を考えれば,弁護士,税理士,司法書士などを取り揃えた法律事務所に依頼することがよりよい選択肢であると思われますが,民事信託は一度開始してしまえば10年,20年,場合によってはそれ以上の期間継続することになります。

継続的に一貫して関与してもらうという意味では,個人事務所ではなく,法人の形態を取っていてかつ一定程度の規模,人員を擁する事務所などが信託に対してより対応力が高いものと言えそうです。

現在そして将来にわたって信託に対応すべく体制を整えていて,複数分野の専門家を揃えていて,法人の形態を取っている法律系事務所等に,信託の開始前から終了まで一貫して関与を求められるようであれば,それが最も理想的な専門家の活用方法ではないでしょうか。

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