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Q&A

民事信託を開始するにはどうすればいいのですか?

1 信託の大まかな方針を決定する

民事信託を開始するための出発点は委託者の信託をしようという意思ですが,信託実現のために具体的に決めなくてはならないのが,受託者,受益者,信託財産と信託の目的です。

どういう事態に備えて誰を受益者として信託をするのか,そのためには誰を受託者とすべきで自分の財産をどれだけ信託財産とすべきなのかといった大まかな方針を立てる必要があります。

最近はインターネットや書籍などで様々な民事信託の活用例が紹介されているので,そういったものを参考にするとよりイメージが湧きやすいものと思われます。

当サイトでもいくつか活用例を紹介しておりますのでご参照下さい。

2 より具体的な内容を決めるために(専門家の関与1)

ただしご注意いただきたいのは特に民事信託の場合は大別すればいくつかの活用例に分類されるというにすぎず,実際に信託を開始する際には細かく個別の事情を把握したうえで十分に機能するよう,信託条項等を吟味する必要があります。

また民事信託においてはその目的が達成されるまで信託は10年,20年,場合によってはそれ以上の期間継続することになります。

目的の達成によって信託は終了しますが,何を以て終了するのか,終了までの間にどんな事情の変化が起こるのか,もある程度想定して備えておく必要があります。

なかなか民事信託を利用しようという方がご自身でそういった細かい部分に配慮して民事信託を開始するのも難しい点が多いと思われますので,大まかな方針を立てた後は専門家の助力を求めて準備を進めるのがよろしいかと思われます。

特に認知症対策や遺産承継対策,福祉型信託として民事信託を利用される場合は,既存の成年後見や相続の分野と類似,共通する点が多く見られますので,そういった分野で実績のある法律事務所等に協力を依頼をすることで,将来起こりうる紛争の未然の防止を見据えての信託の設計が可能になるものと思われます。

3 信託の開始

信託を開始するための方法は,信託契約による方法,遺言信託による方法,自己信託による方法があります。

自己信託は委託者自身が受託者となる信託で,受益者の生活の保護を目的とする福祉型信託とは異なり,信託の倒産隔離機能の活用を主眼とした信託です。

遺言信託は遺言によって信託を開始する信託で,遺言との共通点が多く見られます。

信託契約は委託者と受託者の契約によって開始する信託でより信託の特性を生かしやすい信託と言えます。

信託を開始した場合は一定の所有権の変動が発生するとされる結果,課税の対象となることがありますし,信託財産に不動産が含まれている場合は信託を開始した旨を登記申請する必要がありますので,場合によっては税理士,司法書士への相談も考慮に入れるとよいでしょう。

信託は開始時においては委託者と受託者を中心として機能が形成されますが,その開始後は受託者と受益者を中心として機能する点もあるので,特に委託者が受益者とならない場合などは委託者が信託に最大の影響を及ぼしうるのは開始時点と言えます。

そういった点からも信託はその開始時点で専門家の関与を求めて委託者の意思をより正確に信託条項に反映しておくことは重要と言えます。

4 信託監督人,受益者代理人(専門家の関与2)

信託の開始後は受益者がある程度受託者の監督をすることになりますが,信託監督人を選んでおくことで別途受託者の監督ができるほか,受益者代理人というものも選任することができます。

受益者自身は判断力が低下していてもなることができますが,そういった方は受託者を監督することが難しいので,特に福祉型信託においては信託の目的実現のために信託監督人,受益者代理人を選任する意義は大きいものと思われます。

場合によっては専門家を信託監督人,受益者代理人に選任することも検討すべきと思われます。

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